架空の杜

The journey is the reward.

魔法少女まどか☆マギカ 11話・最終回 輪廻と涅槃の物語

11話と最終話を見た。待たされたけれども続けて最終二話を見ることができた良かったと思う。直球の感想は「これは輪廻と涅槃の物語」だということだ。まどか(円)の名前は円環する輪廻を表した言葉だった。希望を持つことによって業が積もり、その因果の重さによって生命体は輪廻の輪から抜け出すことができない。これは仏教の思想そのものだ。まどかの出した答えは業(カルマ)を生み出す根源となる希望を持つことを放棄し、自身が希望そのものになることであった。希望する主体から主体が目指すそのものになること。これはまどかが解脱したということであろう。輪廻転生の輪から抜け出した状態のことを仏教では涅槃(ニルヴァーナ)という。その境地に達したことで、まどかは人々から忘却されるという代価を払って、いうなれば神となった。しかし、解脱したのはまどかであって、ほむらは新たなる輪廻の世界で戦わなくてはならないのだった。という結末だ。

よくこんな壮大な物語を創るよなぁ・・・

この作品はかなり高度な宗教哲学に基づいて創られている。オリジナルのエヴァンゲリオンがもっていた人間の根源を見せつけるような高度な力を具有する神アニメだったと思う。この作品が今後のアニメ界や創作界全般に多大な影響を及ぼすことは間違いないと思うが、この作品は高度な次元で完結しているので、フォロワーは非常に困難な道を歩むことになるだろう。それにしても、戦後日本の一つの終結と後生伝えられるであろう東日本大震災を跨いで、この作品が放映されたことは、ただの偶然であろうか。

解脱したまどかが輪廻の象徴としてのほむらを抱く