架空の杜

The journey is the reward.

東京

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かなり気合いを入れて売り出された大塚利恵であるが、残念ながらファーストアルバムと、それに付随するプロモーションでは限られたファンしか獲得できなかった。本作はファーストアルバムから不自然に間を置かれて静かにリリースされたものだが、前作と作風が大幅に変わっていたので、前作で獲得したファンの大多数を振り落としてしまう皮肉な結果となってしまった。彼女としては1枚目で若き日々に創った曲を一気に吐き出し、この作品が本当の意味でのデビュー作のつもりだったのであろう。しかし、新陳代謝の激しいメジャーの世界ではその悠長さと、作風の連続性の無さが致命的となり結果として彼女は表舞台から去ってしまった。だがこのアルバムがファーストなら、きっと彼女はもっと多くの別の感性を持ったファンを大量に獲得して大成功していたに違いない。洗練された詞と曲作り、そしてリトルクリーチャーズ鈴木正人の素晴らしいプロデュース。これぞ隠れた名盤中の名盤。いつの日か必ずこのアルバムは再評価される日が来るだろう。
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