架空の杜

The journey is the reward.

第337話感想

長らくこの作品を毎週読んでいるのですが、この作品というか畑健二郎という漫画家はキャラ設定とストーリーの間に乖離が時としてみられるタイプで、ストーリーを優先させると時としてキャラクターを見失ってしまうことが多々あります。ポストモダニズムにおける創作の傾向として「大きな物語がなく、記号的なキャラクターが戯れる」というよくある解釈があります。この作品は連載当初から10巻ぐらいまではキャラの戯れに徹していてそれが特有の「新しさ」を感じさせました。失速しだしたのはキャラクターをストーリー(物語)に随伴する要素として描き始めたころからです。ストーリーにキャラのパーツがかみ合わないというか,いわゆる齟齬感覚が溢れまくりなのですよね。今回のようにキャラクターを戯れさせているだけの方がよほどこの作品らしいです。キャラクターの差異の摩擦と蠢きだけで作品が成り立ってしまうという最近の創作トレンドにこの作品も忠実であって欲しいですし、この作品は特にそうあるべきだと思います。

今週のマリアさん