架空の杜

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リタリンの功罪

向精神薬リタリン、うつ病の効能取り下げへ

依存性の高い向精神薬リタリン」の乱用問題で、製造販売元の「ノバルティスファーマ」(東京都港区)は21日、うつ病についての効能を取り下げる方針を明らかにした。厚生労働省や精神科の関連学会と協議、了承を得られれば、薬事法に基づく取り下げ申請を同省に提出する。製薬会社側が効能取り下げを申し出るのは極めて異例という。

リタリンには、幻覚や妄想を引き起こす副作用があり、依存症や乱用などの問題が指摘されている。同社は「リタリンは古い薬で、ほかに有効な薬が開発されている。不適正な使用が社会問題化し、有効な対策を取る必要があった」と説明している。

リタリンは1958年から販売されており、承認されている効能は「難治性うつ病」「遷延性うつ病」の2種類のうつ病と、睡眠障害ナルコレプシー」の計3種類。同社はこのうち2種類のうつ病の効能を取り下げる方向で検討している。同省は取り下げ申請を受ければ、薬事・食品衛生審議会で諮り、正式に決定する。

リタリンの乱用による精神破壊の惨状は今に始まったことではないのに、ここ数ヶ月、リタリンパッシングがマスコミで繰り広げられた。遂にノバルティスファーマが陥落した。製薬会社側が効能取り下げを申し出るのは極めて異例という。と大製薬会社の肩を持つような文章を綴るのはやはり日経だからであろうか。

十年前にリタリンをスニッフする連中は既にいた。

黎明期のインターネットのメンヘルサイトではリタリンは神薬扱いだった。当時東京にいた私は目の前でリタリンを短く切ったストローで吸引する連中を見てカルチャーショックを受けた。当時私はうつ病を患い(今も完治はしていないが・・・)新宿のメンタルクリニックに通っていた。そのとき頼みもしないのに「ちょっと元気が出る薬を出しましょう」と医者の方から処方されて驚いたことを思い出す。持っているだけでリスペクトされるような変な雰囲気が当時のメンヘルオフにはあって、私は処方された薬をあまり服用せず宝物を蓄えるように綺麗なガラス瓶に処方されるたびに備蓄していった。

リタリンの多用で心神喪失になった私

当時文京区に本社を構える某出版社で用紙と印刷の購買管理を一人でやっていた私はストレスに浸食され深い鬱の海を漂っていた。そこで社長との確執が日々輪郭が強くなっていき、耐えられなくなった私は備蓄していたリタリンを一錠・二錠といやなことがある度に服用するようになった。服用後しばらくして高揚感が表れ集中力が増し、その上がり際をとらえて一気呵成に仕事を処理してしまうのだ。リタリンは服用すると脳内麻薬を無理矢理放出させる薬である。だから作用が切れたら反作用で脳内で精神を安定させる作用を持った物質が逆に減ってしまう。で、減った分を補おうとしてリタリンをさらに飲む、、という悪魔のスパイラルが完成する。私はこの罠に完全に嵌って精神状態が尋常ではなくなり、逃げるように東京から退転した。そして自我を取り戻すまで1年もかかってしまった。静養できる実家という逃げ道がなかったら、私はどうなっていたのだろうかと考えると今でも本当に戦慄が走る。

薬の反作用が鬱を極度に悪化させる

ハッキリとマイナス面が分かっているのに、延々とうつ病の薬として、この薬を売り続けた製薬会社の責任は重い。この薬をうつ病の薬として処方しているのは日本ぐらいであって、しかも10年前は「軽いうつ病」を治す薬として処方されていた。それが乱用批判を受けて「難治性うつ病」「遷延性うつ病」という逆方向ベクトルに効能が書き換えられた。そこまでしてでも製薬会社はこの薬をメンヘラーに売りつけたかったし、一部の精神科医も患者をリピーターにするために処方を続けた。

精神科医の詭弁

抗うつ剤に反応しないうつ病患者にとってこの薬は必要悪である」というのが、精神科医の常套句であった。しかし、それなら通電療法・通磁療法といった治療法が残っている。リタリンを無責任に処方していたのは医師免許を持った薬屋連中である。私が知っている範囲でも断薬で社会復帰できたのは、ごく一部で逝ってしまったり発狂してしまったり末期哀れな人たちがとても多かった。

リタリンに罪はないが・・・

リタリンナルコレプシーADHD(多動性障害)には代替する薬のない世にとって必要な薬である。ただ、末期哀れな結果に成りやすいことを知りつつ無責任にメンヘラーにリタリンを処方してきた一部の精神科医の罪は重い。