作中にフロイトの名前が出たことによって、何となく自分的な結論を導けたので書き殴っておく。
多層化しているようで実は二重レイヤーでは?
キョンがハルヒの巻き起こす事象を一人称で理性的に述べていくというのが、この物語の基本構造である。読み手はキョンに感情移入して読めばいいのだろうか? 私はハルヒのハチャメチャな言動に何らかの共感を得ていた。言語化できない心の奥の何かとハルヒが重なるのである。深層心理の得体の知れ無さを純化したのが涼宮ハルヒではないのか? 容姿端麗、頭脳明晰なれど意味不明な異性というのは、彼岸であるが故に背中合わせの自分自身だとはいえないか。
ハルヒの望んだものは
未来人・宇宙人・超能力者であった。彼女の願望を具現化して現れたのが、寡黙で得体が知れないけど守ってくれる長門、妹属性・姉属性・メイド属性等萌えの権化である朝比奈、丁寧な言葉遣いをする自分を決して拒絶しない穏和な青年である古泉。望んでも手に入らないが故に、(特にオタクが)常に二次元に求めている対象そのものである。
ハルヒが真に望んだものは
分裂した理性体であるキョンである。自称、何の変哲もない普通の男子高校生だ。自分が他者の欲望の対象になるはずがないと絶望している読者(或いは作者自身も内包しているかもしれない)の化身である。