架空の杜

The journey is the reward.

消費者がダイエーに行かなくなった原因。


それは、「安くて良いもの」しかないからである。
「安くて良いもの」がなぜいけないのか。
それは消費者の嗜好が変化したからである。
いや、正しく言えば消費者は入れ替わったのだ。

今の消費者は戦争体験者ではない。戦後の苦しい時代も知らない。
彼らはダイエーが作り出した豊かな世の中で育ってきたのだ。
「安くて良いもの」といえば聞こえはいいが、
言い換えれば「そこそこ良いものが、他店より安い」という意味でしかない。
他店で100グラム300円の肉が
ダイエーなら250円で買えるということであって、
100グラム2000円のサーロインが250円で買えるわけではない。

今、消費者が求めているのは「高くてもいいからもっと良いもの」
もしくは「そんなに良くなくてもいいからもっと安いもの」のどちらかである。
「良いものをより安く」提供し続けたダイエーは間違いなく国民を豊かにした。
だが、豊かになった消費者が選んだのは
ダイエーのビジネスモデルではなかったのである。