架空の杜

The journey is the reward.

学生イラスト受注サイトPEGGS騒動について

専門学校在籍のイラストレーターのタマゴの作品を安価で提供しようというサイトについて波紋が各方面に広がり炎上しているようです。矢面に立っている人がどうやら専門学校関係者ではなく請け負ったWeb作成業者らしいので(企画提案したのも作成業者かもしれませんが・・・)議論が上滑りしているようです。該当サイトは現在閉じられていますが炎上したので引っ込めたのではなくてアクセス過多でいったん閉じただけのようです。
http://www.peggs.jp/
PEGGSが危険?今後イラスト作成料自体が安くなると危険視するプロ達 - Togetter
PEGGS関係者竹中智さんとの対話 - Togetter

企画意図は健全みたいです。

そもそもこの価格では中間搾取のしようもなく説明通り「持ち出し」なのでしょう。学校側としてはプロとして仕事を請け負うことによって学生に自覚と自信を与えようという教育的配慮が根底にあるのでしょう。生徒を学費を払う客としてみていない学校よりは志が高いともいえるかもしれません。

デザインの価格破壊という側面

一斉に反発の狼煙が上がったのは学生が売るイラストだとしても、金銭の売買が発生する以上それは市場に参入したわけであり、その破壊的低価格が既存のデザイン価格を低下させる市場の攪乱要因として、多くの市勢のデザイナーに脅威を与えたことにあります。学生に経験と自信を与えるはずが、将来彼らが収入を得るかもしれない市場をデフレスパイラルに巻き込んでしまっては本末転倒だという意見です。まことにもって正論です。

教育的思慮と市場原理のフリクションと矛盾

一見、教育的思慮と市場原理のフリクションに思えます。市場原理的には「安かろう悪かろう」で経験の低い学生の作品を安く売っても間違いとは必ずしもいえないでしょう。しかしデザインは(特にイラストは)天賦の才能に依存するものであり、学生の作品だから低品質であるとは限らないという根本的な問題があります。このサービスが大きな衆目を浴びたのは「極めて安い価格で才能のある学生のイラストを買うことができる可能性」が開かれたからです。逆にいうといくら安くても才能のない学生のイラストは価値がないです。商業目的に使えないイラストには100円の価値もありません。

問題の本質は

価格は本来、需要と供給のバランスで決定されます。供給過多で値段が崩れるのは市場原理的には自明のことです。もっとも、配給過多のセカイでもその作品が唯一無比の場合に支払われる対価はやはり相応に高くなるはずです。ですので多くの人が懸念に感じたのは、いわゆる商業デザインがコモディティ化して、供給過多が質の低下に繋がらなくなった事実が根底にあると思います。