架空の杜

The journey is the reward.

靖国問題がリフレインする理由

今回の会談キャンセルなども含め、中国の高官が靖国問題固執する背景を、日本の政治家の中で的確に分析していたのは、安部晋三だろう。安部はサンデープロジェクトのインタビューに答えて、中国共産党の正統性が、改革開放政策によって問われ始めているということを指摘していた。すなわち、経済システムでは、共産主義が標榜した「平等」なる世界は完全に瓦解し、貧富の差や都市と農村の経済格差は目を覆うばかりに拡大した。その結果、生み出された膨大な負け組の人民にとって中国政府は圧制者に映り始めている。そうした中にあって中国共産党が唯一、中国人民に対して統治の正統性を主張できるのが、日本の植民地支配に抗した「反日」の歴史を持っている点だ。