架空の杜

The journey is the reward.

フェミニズムの弱点

私は知性というものを「自分が誤り得ること」(そのレンジとリスク)についての査定能力に基づいて判断することにしている。平たくいえば「自分のバカさ加減」についてどれくらいリアルでクールな自己評価ができるかを基準にして、私は人間の知性を判定している。さて、私が知る限り、「自分が間違っている可能性を吟味する」能力を優先的に開発しようとしているフェミニストはほとんどいない(彼女たちが最優先するのは「自分の正しさを主張する」能力の開発である)それはおそらく、「女であるがゆえにある種の明察を賦与されている」という信憑が、フェミニズムにとって絶対に譲ることのできない思想的な防衛線となっているからであろう。しかし、戦術的にはしばしば劇的な効果を持つこの信憑が、学知としてのフェミニズムにとって致命的な弱点になっている。さまざまな社会的不合理(性差別もそのひとつだ)を改め、世界を少しでも住み良くしてくれるのは「自分は間違っているかもしれない」と考えることのできる知性であって、「私は正しい」ことを論証できる知性ではない。