架空の杜

The journey is the reward.

擬態うつ病


90年代後半以降、精神科に抑うつ感を訴えて
訪問する人が急増している。
精神科に対する偏見が少なくなり、救われる
人が増えたことも確かでありよい傾向である
ともある側面からはいう事ができる。

抗うつ剤の市場は年々拡大しており、製薬会
社にとってもドル箱になりつつある。
しかし問題は薬の処方の急増が必ずしも
うつ病」患者の増加とリンクしていないこ
とにある。

誤解が多いので重ねていうが「うつ病」は
脳内物質の伝達異常によって起こる疾患であり
物理的な要因によって発症する「病気」なのである。
器質性の病気だから世相が荒んだからといって
患者数が急増するような病では全くないのである。

うつ病の人がストレスに晒されると病が悪化
するのは確かだが、ストレスがうつ病の要因
になるということは臨床的に完全に否定されている。

では何故ストレスに晒されて憂鬱な人間が自ら
うつ病」を自称するのか。
それは病のせいにすれば自分を責めなくてよいから
である。「うつ病」になれば免責されるという意識が
内在しているから自称「うつ病」は増える一方である。
心の病を自己保身のためのステイタスにしているのだ。

統計学上は分裂病の発症数のほうがずっと多いのにも
かかわらず。巷には自称「うつ病」の人が溢れかえっ
ている。「うつ病」は繊細で傷つきやすい人の代名詞
分裂病基地外というわけである。基地外を自称する
人はいない・・・

本当のうつ病の人は自らの病を吹聴したりしない。
むしろ心を病んでいる自分を責めて殻に閉じこも
ってしまうのが本来の姿なのである。