架空の杜

The journey is the reward.

駄作を力業で傑作に変えた高津カリノ先生の才能に驚嘆

この作品は第一巻が発刊されるまでに、連載開始から4年もかかった。最初は不定期連載の穴埋め的な作品だったことは間違いなく、大ヒット作となったWorking!と比べると、作者の意欲も編集者の熱意も今ひとつ伝わってこない感じだった。実際練り込まれた設定のWorking!に対して雑で華やかさに欠ける作品だった。Amazonの一巻のレビューをざっと見ていただければこの作品の妥当な評価もわかるだろう。

天才が本気を出すと

状況が変わったのはWorking!が大ブレイクした結果、同時発刊で商売しようという思惑により、この作品も大いにプッシュされる立場になってしまったことだ。作者的にも編集者的にも全力でこの作品のテコ入れしなければならなくなった。そして恐ろしいことにあっという間に本当の傑作に変貌してしまったのだ。いくらテコ入れしても基本設定に問題があれば改良にも限度があると思うのが普通だろう。普通でないことを当たり前にやってのける高津カリノ先生の才能は、驚愕を超えて畏怖のレベルに達している。天才とは恐ろしい。