架空の杜

The journey is the reward.

投資家のみた日本経済

なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

この表紙と書名からすると食指が動かない本だが、著者がカリスマ的人気を誇るアルファブロガーで、いろいろな人が「ぐっちーさんはこういっている」と彼の言質を根拠にするぐらい人気のある人の初著作ということなので、迷いなく買った。内容の真偽については素人の僕には判らないけれど、とにかく面白く一気読みできる本なので、経済に関する新しい視点を欲している人には超お勧めです。マスコミを通じて国民に浸透している経済のコンセンサスに疑義を申し立てている内容で、論旨は明快で強い自信に裏打ちされた断言が心地よいです。

円高が悪いわけがない

自国通貨の価値が高いのがなぜ悪いのか? 円高悪玉論に対する反論が極めてまっとうな論理で語られており、もの凄く腑に落ちました。日本の製造業の輸出依存度は15%と国際的にみて極めて低く、更にドル建てでの決済が半分ぐらいあるので、円高国難を招いているというのは悪質なプロパガンダだという意見には納得させられました。円高は90年代に80円を割ってからずっとその基調が続いているので「今さら」円高・デフレを理由にしている企業は単に「日本人の労働賃金を切り下げたい」「経営戦略のミスを責任転嫁したい」だけなのだということですが、そうなんでしょうね。シャープ・パナソニックコモディティ化したテレビに経営資源を集中したという戦略ミス、ソニーはプラス、ソニーアイデンティティであるイノベーションが皆無になったという経営無能の結果が惨状の原因というのもその通りです。