- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: コミック
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5000万部を売り切る大ヒット作にもかかわらず読んでいなかったのは、個人的に「努力・友情・勝利+ファンタジー」のジャンプが得意としている作品群が肌に合わないからです。
この作品はいろいろな角度から分析できると思いますが、一番作品として特徴的なのは「作品全体に通底する強い倫理観がある」ということです。「努力・友情・勝利」を押さえていればいいんだろといった感じの作品が多い中、大手出版社系ではないところから、これだけの冊数を売り切った作品の底力はここに源泉があると思います。
「敵を討つ」を否定すること
25巻でマスタングが親友の仇討ちをまさに達成しようとエンヴィーにトドメを刺そうとするとき仲間から制止を希求されます。意趣返しの爽快感をキャラに達成させなかったところに、この作品の真骨頂があるような気がしました。
一巻の小さなエピソードの小悪人が最終刊まで描かれたり、雑魚として一般的なマンガならやっつけられて終わりの敵の手下が意外な活躍を見せたりと、陳腐な言い方ですけど作品全体に「慈愛が溢れている」感じです。