架空の杜

The journey is the reward.

苦しまない練習 小池龍之介

ブッダにならう 苦しまない練習

ブッダにならう 苦しまない練習

どこの宗派にも属さない仏陀回帰主義ともいえる小池師の著書はたくさん出ていますが、手を変え品を変え一貫して「仏陀の考えたことの素晴らしさ」を熱い情熱を持って伝えようとする意思が伝わってきます。ほとんどというか全く抹香臭さがない。仏陀の教えを宗教だとは考えず高度な心理学の大系、もしくは辿り行く先に頂が見える「道」のようなものとして捉えています。一連の著書の中でも最大のベストセラーの続編だけに読んで為になる一冊です。

怒りという刺激を求める愚者という考え方

小池師が気づかせてくれる知見は数限りなくあるのですが、「怒り」というマイナスの感情を求めてしまう人間の本質についての洞察は目から鱗でした。ネット上にも日々怒りをぶつける対象をわざわざ探してきては怒っている人がたくさんいます。獲物を見つけてはTwitter等でネガティヴな書き込みをしたり、痛い人をウォッチしたり・・・。ネガティヴな感情を引き出す行為から生じるマイナスの快感に取り憑かれている人々を慈悲の目で見つめることができる小池師は、これからの時代のオピニオンリーダーになる資質のある人だと思います。蛇足ながらこの人は東大卒で西洋哲学を究めた学究の人でもあります。