架空の杜

The journey is the reward.

大切な場所をめぐる物語

天真爛漫が魅力の唯でしたが、思い返すと最初と最後で泣いているんですね。この涙はいずれも「場所」の成立に自分が迷惑をかけているという罪の意識の表れだったと思います。

初回は入部を断ろうとして皆の引き留めにあって申し訳なさに涙を浮かべます。

最終回は大切なステージに遅れて他のメンバーに迷惑をかけたことに感極まって涙を浮かべます。

初回と違ってステージ上には大切な仲間がいます。律が言います「みんな唯が大好きだよ!」

セルフアンコールでは観衆に背を向けて演奏を再開します。5人が築き上げた「場所」を巧みに表現しています。

自分を受け入れてくれる場所

けいおん!は女子校における5人の少女たちの居場所をめぐる物語でした。律は澪と高校時代も同じ時間を過ごせる場所を作りたくて澪を廃部寸前の軽音部に誘ったのでしょう。紬は普通の人間関係に憧れ、律と澪のやり取りをみて楽しそうだと入部しました。そして高校に入っても居場所が見つからなかった唯が参加して物語が始まります。軽音部が自分がいるべき場所かどうか悩んだ梓のエピソードも忘れられません。

唯の自問


「ねぇ、私。あの頃の私。心配しなくていいよ。すぐ見つかるから。私にもできる事が、夢中になれることが。大切な、大切な、大切な場所が!」
けいおん!は要約すると、「ピュアな心をもった少女たちが大切な場所を見つける物語。」といえるでしょう。