架空の杜

The journey is the reward.

夫婦茶碗 (新潮文庫)

夫婦茶碗 (新潮文庫)

町田康に関しては「勢いに任せて書き殴ったこれの何処が文学なのだ!」とお怒りになる方が一定の割合いる(amazonのレビューにも散見されます)。しかしそれは誤解であって、当然ながらそのような作家が芥川賞をはじめ数々の文学賞を受賞するわけがない。パンクの作詞家として一言一句に魂を込めてきた鋭利な言語感覚と隠遁時代に吸収した文学素養の上に花開いた唯一無比の町田ワールドは最高に心地よい。この作品は初期の代表作として古典となるべき名作である。