架空の杜

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遺伝子研究の成果 サラブレッド血統書に矛盾を発見

「現在、登録されたサラブレッドの中で、血統が100パーセント正確と言えるものは1頭もいない。」これは、アイルランド・ダブリンのトリニティ・カレッジのエメリン・ヒル博士、パトリック・カニングハム教授が、過去2年間にわたって実施した研究成果の驚くべき結論である。これは、アニマル・ジェネティクス(Animal Genetics)の8月号の論文で明らかにされた。古くからの正式な血統記録に問題があるという2人の発見は、生産界全体に大きな衝撃をもたらすであろう。なにしろ、200年もの間、生産界は血統の真正さを決して疑わなかったからである。研究結果に、議論の余地はない。世代を通じてメスの母子間で確実に伝えられると証明された遺伝物質である「ミトコンドリア・DNA」を使って、厳密に行われた検査から引き出された結果である。同一の母系ファミリーのメスは、全て同じ型のミトコンドリア・DNAを受け継ぐという真理に基づいている。ヒルおよびカニングハム両氏の研究は、血統的に正しいと認められた19の母系ファミリーに属するサラブレッド100頭から、採取された検体に基づく結果に矛盾が発見された。19の母系ファミリーの半数弱に、予想されるパターンを示さない競走馬が少なくとも1頭見つかっている。これらのケースは、登録された血統が誤りであったと考えざるを得ない。一方、半数強の母系ファミリーは、矛盾が発見されなかったが、これは、必ずしも、その母系ファミリーの血統が正しいことを意味しない。血統の誤まりが、競走馬生産の初期の時代に発生した場合、誤まったファミリー出身の競走馬は、当然、他のファミリーと交配されている。その結果、事実上、全てのサラブレッドが登録された祖先のどこかに矛盾を持っていることは確実である。ヒル博士は、発表した2件の論文で、この研究結果が大きな衝撃ではないことを説明しているが、矛盾を示したケースが多かったことには驚きを表明している。博士は、いつどのように誤りが発生したかを示すとともに、多くの場合、現代の科学技術が、それらを修正することができると主張している。サラブレッド生産の正式な記録は、ウエザビーが英国サラブレッド血統書(GSB、General Stud Book)の第1巻を発行した1791年に始まった。以来、GSBモデルは世界中で規範とされ、一部の例外はあるものの、オリジナルのデータは、必ず真正であると考えられてきた。血統証明には、過去、その時代の最善の手法が採用されているが、DNA検体による血統検査の導入で、完全にエラーのないシステムが実施されるようになったのは1986年からである。それ以降発生した矛盾はごく少なく、即座に解決されている。ウエザビーのハミシュ・アンダーソン氏は、次のように言う。「初期の時代には、血統について完全に証明することは不可能でした。現在は新しい技術により優れた情報の利用が可能となりましたが、歴史的なデータを効率的に訂正することは難しいでしょう。誤った系統が特定されるかもしれませんが、全てのケースを修正することは不可能だろうと思われます。」多くの生産者は、現在の血統書の真正さに全幅の信頼を寄せており、今回の発見に関係なく仕事を続けていくことは間違いない。多くの人にとっては、競走成績こそが、必要とする血統の全証明であるが、歴史的な記録が間違っていたという事実は残る。問題は、そうした間違いを、科学技術を利用して修正することができるのなら、それは実施されるべきか、また、その場合、必要な調査に誰が資金を出資するのか、ということである。(racing post.co.uk 「Genetic pedigree research finds anomalies」)
2chで拾った情報。最近遺伝工学とリンクさせてサラブレッドの血統を語ることが流行する兆しがあります。ミトコンドリアイヴの話とかはいろんなところで読みましたので、いずれこういう記事が出るだろうとは思っていたのですが、やはり出ました。母系はミトコンドリアDNAで演繹的に白黒つけられるんですが、父系はどうでしょうか。ミトコンドリアが母系で一直線に遺伝するようにY遺伝子は父系一直線でしたよね(基本的なことすら自信なし)ならば早いところ父系の正当性について遺伝工学で白黒つけて欲しいです。母系というのは父系より明らかに誤魔化しにくいものなのにこの有様なのですから、アメリカンダミー説も当たっているかもしれないですね。ジャージアクトの歴史が語るように古の米国の血統管理が杜撰だったのは遺伝工学の結果を待つまでもなく事実なのですから