架空の杜

The journey is the reward.

駄盤扱いから名盤に出世したブートレック

ブートレック、則ち海賊盤ですから非合法です。非合法ながら洋楽に関しては黙認されています。売る方も買う方もリスクを背負っているから、合法な世界より仁義に厳しかったりします。ヤクザの世界と同じですな。

発売当時これほど袋叩きにあったブートも珍しい。

世の反感を買ったのはこのアルバムがレア音源でファンのニーズを満たすのではなく、1971年にビートルズが解散していなかったらというコンセプトで、正規盤の既発曲を寄せ集めて作り上げたパイレート盤だったからだ。得体の知れない三流ミュージシャンが海賊盤専門誌*1の巻頭で絶賛提灯記事を書いたこともブートファンの逆鱗に触れた。発売元のHALというレーベルはもとより詐欺まがいの駄盤を乱発して悪名が高かったことも批判に拍車をかけた。

今じゃ名盤扱い

それが今では名盤扱い。なんでそんな逆転劇が生じたのかというと、妄想コンピレーション盤としては極めてよく作られていたからだ。解散後の4人の音源の音圧を揃え新鮮に聞こえるように上手くイコライジングしてある(音圧を上げすぎて初期ロットは不良品となってしまったが)、冷静に聞くとコンセプトの「1971年にビートルズが解散していなければ」というファンなら誰もが妄想した内容を愛情込めて作っていることが判る。

解散しなければ

これだけの曲をソロでも作れる四人が一つのバンドにいたのだ。もっとビートルズマジックを!! この迷盤はそんなファンの声を代弁している。だからこそ今でも高値で取引されているのである。

曲目

  1. GIVE PEACE A CHANCE
  2. ANOTHER DAY
  3. COLD TURKEY
  4. MAYBE I'M AMAZED
  5. APPLE SCRUFFS
  6. POWER TO THE PEOPLE
  7. HAPPY XMAS(WAR IS OVER)
  8. RAM ON
  9. INSTANT KARMA
  10. MY SWEET LOAD
  11. IT DON'T COME EASY
  12. JUNK
  13. OH YOKO!
  14. BACK SEAT OF MY CAR
  15. SUICIDE

*1:世の中ににはそういう雑誌もあるのである