架空の杜

The journey is the reward.

Archives - 内田樹の研究室

快感原則の究極のかたちは死である。
死んでしまえば、もう変化はない。
ニルヴァーナだ。
でも、現実原則と快感原則の葛藤ということを考慮すると、タナトス的にいちばん気持ちがいいのは「もう死んでいる」状態ではなく、むしろ「今、死ぬ」瀬戸際にいるときではないだろうか。
「ああ、これでやっと永遠の安定に還ることができる」という瞬間にタナトス的な「快」は最大化するはずである。

生きていることは「死ぬまで続く不安定の恐怖にさらされること」か・・・。その不安定さの中に潜む快楽を見出せるか絶望するか・・・