2006-04-09 Archives - 内田樹の研究室 快感原則の究極のかたちは死である。 死んでしまえば、もう変化はない。 ニルヴァーナだ。 でも、現実原則と快感原則の葛藤ということを考慮すると、タナトス的にいちばん気持ちがいいのは「もう死んでいる」状態ではなく、むしろ「今、死ぬ」瀬戸際にいるときではないだろうか。 「ああ、これでやっと永遠の安定に還ることができる」という瞬間にタナトス的な「快」は最大化するはずである。 生きていることは「死ぬまで続く不安定の恐怖にさらされること」か・・・。その不安定さの中に潜む快楽を見出せるか絶望するか・・・