架空の杜

The journey is the reward.

Tug of War

Tug of War

ジョンレノンの死後にでたポールマッカートニーのアルバムということで非常に注目された一作。プロデューサーにジョージマーティンを迎えたことも話題になった。しかし、これはジョンの死が原因で起用したのではなく偶然だったようだ。このアルバムは私がビートルズのファンになる2年前に発売されたもので、リアルタイムでは聞けなかった。

個人的な思い入れのあるファーストを除くと、やはりこの作品はポールのソロ作としては間違いなく最高傑作だ。ポールは悪癖として才能に任せて雑にアルバムを勢いで作ってしまうことが多々あり前作のマッカートニーⅡはその最たるものだった。しかしこの作品は、盟友の死の影響とジョージマーティンのプロデュースという特殊な状況下で熟成させるがごとくじっくりと作られており、その意味でもこのアルバムは別格である。スティーヴィーワンダー・スティーヴガッド・カール・パーキンス他、ある意味自分よりも優れたところのあるアーティストと競演したのもこのアルバムの大きな特徴である。全曲名曲であり個人的には3.Somebody Who Caresが大のお気に入りでポールの真骨頂である美しいメロディが秀逸だ。ジョンは逝ってしまったが、このアルバムは間違いなくジョンとポールの共作アルバムである。盟友の魂は創造者に憑依するのだ。ジャケットも良いなぁ。