架空の杜

The journey is the reward.

かってに改蔵

かってに改蔵 (1) (少年サンデーコミックス)

かってに改蔵 (1) (少年サンデーコミックス)

26巻一気読みしました。マガジンの新連載「さよなら絶望先生」で久米田康治を知って連休中にこの作品を読んだ人も多いようです。私はタッチの差で何故か読んでしまってマガジンの新連載に驚いた人間です。さて、作品についてですが「読み手を選ぶギャグ漫画」なのは間違いないと思います。掲載誌だった少年サンデーのコア読者層とは少しずれていたかも知れません。この漫画を楽しめる人は、1.30代 2.アニオタ(特にガンダム) 3.ある程度時事に関心がある 4.サンデーの読者 といったポイントが多いほど面白いはずです。私は一気読みしましたが、一気読みして面白いタイプのギャグ漫画ではないです。連載当初からフルデジタルで作成されている影響もあるのか絵柄がドライで垢抜けてセンスよさげなところも大きな美点でしょう。

しかし、この作品には決定的な欠陥があります。この欠陥が故に傑作とまではいえないと思います。主人公の改蔵のキャラが立っていないのです。初期設定でネジの外れた天才というキャラ立てをしてしまったのにギャグ漫画の主人公にしてはボケが弱すぎるのです。かなり序盤からボケ役ではなくトピックの説明役に転じてしまい、その役割を担うべき部長のキャラが薄くなっています。序盤ではサブキャラの地丹を苛めて落としていましたが、そのうちヒロインの羽美を壊して猟奇漫画っぽくなっていきます。著者も設定上の失敗を自虐ネタとして使っていますが、初期設定のミスは最後まで尾を引いているように思えました。

新作の「さよなら絶望先生」はその反省の上に作られているようで、1話2話で既に改蔵を超えたように感じます。第3話も楽しみです。