架空の杜

The journey is the reward.

聞く技術

  • 昔話に、このようなものがあります。ある旅人がその土地の古老に「次の村までどれくらいかかりますか」とたずねました。すると老人は黙ったままさっさと行くように手で示しました。道をたずねた人はなんと不親切な人だろうと思って、少し腹を立てて歩きはじめました。そうするとその老人は、「その足では○○くらいかかるだろう」と答えたのです。
  • 人間は自分中心でものごとを考えています。そのくせに、あるいはその罪滅ぼしのゆえに、他人に何かをしたくなります。子供や家族や部下には何か言ってやったり、してやったり、役に立ちたいと思います。 しかし、相手がして欲しいと思っている肝心のことはなかなかできないのです。物質的なものならあげることができますが、、心のケアは物質では殆ど代替できません。
  • 何度も述べますが、人間は話を聞くより話をする方が好きなのです。だから、もしあなたが聞き手に立つ必要があるときは、よほど心がけていないと、ついつい聞き手モードが話し手モードになってしまいます。問題を抱えている人を相手にするときは、相手は話すことに臆病になっていますので、あなたは聞き手に徹する心がけが大切なのです。子供や配偶者や身内や部下が悩んでいるときも、聞き手モードからうっかり話してモードにならないように戒めておかなければ、悩みを聞いてやろうとするあなたの思いは役に立たないのです。そのためにも自分の話はしないに越したことはありません。
  • 人間は自分の考えに共鳴してくれる人が好きです。自分の信奉者をもちたいと思います。カリスマ性の強い人は、特にこの傾向が強く、聞き手になったときも、相手の立場にたって聞くということよりは、相手の話を自分の領域に誘いこむチャンスを狙っています。