架空の杜

The journey is the reward.

所有欲について by南直哉


「私が私である」ということには、
まともな根拠が見あたらない。
そこで、人は「私」を何らかのものに結びつけ、
「我がもの」と思いこむことによって
「私」の存在を保証しようとする。
この思いこみを「所有」と言うのであり、
生理的欲求とはことなる所有の「欲望」は
実はものが対象ではなく、
自我への欲望なのである。
それは、まさに無い物ねだりであるが故に際限がない。