架空の杜

The journey is the reward.

切りとれ、あの祈る手を

いろいろ考えされられた一冊でした。一部抜粋します。ネットの情報の海に溺れているだけなのに、「すべて」知っているという幻想にとらわれた人々を告発する文章は非常に考えさせられました。

ジル・ドゥルーズの力強い言葉がありますね。「堕落した情報があるのではなく、情報それ自体が堕落なのだ」と。ハイデガーも、「情報」とは「命令」という意味だと言っている。そうです。皆、命令を聞き逃していないかという恐怖に突き動かされているのです。情報を集めるということは、命令を集めるということです。いつもいつも気を張り詰めて、命令に耳を澄ましているということです。具体的な誰かの手下に、あるいはメディアの匿名性の下に隠された誰でもない誰かの手下に嬉々として成り下がることです。素晴らしいですね。命令に従ってさえいれば、自分が正しいと思い込めるわけですから。自分は間違っていないと思い込めるわけですから。