架空の杜

The journey is the reward.

バブル最後の残滓 勝間和代氏

2010-05-03
勝間さんは僕と同い年、どういう世代かというと、バブルが終わる寸前に大学を卒業した就職氷河期に巻き込まれずに済んだ最終世代です。だから、氷河期の冷たい空気を直接吸ったり感じたりしたことがいない人が一定の割合いる世代でもあります。勝間氏はそういった「下の世代の空気が読めない」人たちの代表のような印象を僕はずっと感じていました。ちょっぴり古いアメリカの価値観を体現したような女性、内田樹先生曰く「常に怒り狂っているハリウッド映画の女性的主人公」だなという感じです。自己啓発を極めると私のような勝ち組になれるのよ!と言外に匂わせているような雰囲気に嫌悪感を感じました。

無知の知

勝間氏の知の基本構造は「あなたが知らないことを、私は知っている」ということですね。知の量の集積圧力で他者を圧倒するというものです。ただ、この知の量で他者を圧倒する人の陥りがちな罠は、畳みかけた知識と知識の間に、時として整合性がないということです。たいてい量で圧倒されたら相手は黙ってしまいますから、今まで自分の陥っている罠に気がつかなかったのでしょう。西村博之氏の知の有り様は「あなたが知らないことは、私も知らない」です。さらに「私は知らないということを知っている、あなたも知らないんでしょ?」というカタチです。どっちが知の本質に近いかといえば、西村氏の方だと思います。