架空の杜

The journey is the reward.

林原めぐみ − Give a reason


この人は声優として歌手として優れているだけでなく、とにかく人格者だという印象が強い。以下は四年ほど前に「ひきこもり」の人たちへのメッセージとして寄稿されていたものです。今呼んでも感動的です。

ところで・・・なんで引きこもっていてはいけないのだろう・・・。生まれ落ちたところが 【社会】 だからなのか・・・。近い将来、それがいいか悪いかは別にして 「引きこもりの天才」 とかが現れるような気すらしているのだけれど・・・。ひたすらネットで情報を得て、人には直接触れないものの、株とか世界情勢とかにはやたら詳しくて、さらにネットバンクを利用してお買い物。触れる人といえば宅配の判子を押すときくらい・・・、と思ったら宅配ボックスにお任せで、本当に本当に 「他人」 に接触しないで生きていく。まあ、これは極端だけど、そんな人を無理やり社会に引きずり出すのは必ずしも正解だとは思わない。外は楽しいよ!社会に適応しなくちゃ駄目よ!という考えを一度捨ててみるのはどうだろう・・・。私は引きこもり・・・、社会から置いていかれる・・・。どうしよう、怖い、怖いからなおさら出られない。嫌われたくない。それならいっそ一人がいい。誰とも関わらなければ、誰にも嫌われない。でも、でも、このままじゃいけない!と自分を責めすぎるのも、結局はただの出口のない迷路なだけだ。 「どうしてひきこもってちゃいけないのか」 の問いにちゃんと答えられる人なんておそらくいない。 「みっともないから」 って体裁じゃん。 「将来が心配だから」 じゃあ引きこもっていても稼げる方法があったらいいの? 「ちゃんとした大人になれないでしょ」 ちゃんとした大人ってじゃあ何?とこれまた出口がありゃしない。

 しかし!外には嫌な人やバカな人やびっくりするくらい無礼な人や、権力をかさにきて物を言う人や、鼻持ちならない人間は年齢問わず沢山いる。けれど、全くその逆の人も本当にいるのだ。道を尋ねたら無視された。道を尋ねたら頼んでもいないのに同じ方向だからと、現地まで案内してくれた。この二つは世の中にちゃんと存在している。いじめる人もいるかもしれないけれど、バカなくらい正義好きな人もいる。悲しいかな 【ひどい人】 が目立つかもしれないけれど、ちゃんといる。そしてそんな人は自分にも他人にも厳しいので、一見その愛情はわかりにくかったりもする。

 一度臆病になってしまったら、そんな人に出合う希望も捨ててしまっているかもしれないけれど、そんなプラス人間に触れたり、関わったりすると、これは経験した人間にしかわからない快感がある。今まで傷ついてきたごほうびか?とも思えるほどだ。写真で見て想像した温泉ではなくて、実際につま先からじんわりくるお湯のぬくもり。私はそれを知っている。経験している。だから、引きこもっていても別にいいけれど、そのぬくもりの気持ちよさを知っちまったからには、声を大にしてただ伝えたいのだと思う。(たとえおせっかいでも)しかし、そんな人は待っていても現れない。経験値も必要だ。でも、傷ついた事があるなら傷つく人の気持ちもわかるはず。悪気なく嫌な人間は確かにいる。でもそこをどんだけ、どれだけ責めても何も変わらない。自分がそうならないようにすればいいだけのことだよ。