架空の杜

The journey is the reward.

反社会学講座

反社会学講座

著者の本音
まさに『反社会学講座』の一般読者層での受容のされ方というのが、「これまでマスコミが流してきた統計の使い方はやっぱり嘘っぱちだったんだ、ヤッター!」で終わりなんですよね。そこから先の議論、では少年犯罪が減ってないとすれば本当にこれは安心していいのか、どういう風に考えていけばいいのか、という議論がまったくそこから出てきていないんです。そういう点でたしかに北田さんもおっしゃったように、専門知を持ったオーソリティーというのが運動の「旗印」にだけ使われて、旗を振っている人自身は旗の中身がわかっているのか、ただ旗を振っているだけ、という形の危険性が十分にあるんじゃないかと思うんですね。つまり、オーソリティーが「啓蒙」の旗を掲げることが、逆に「啓蒙」に結びついていかずに、「権威」のみが取り出され、内実がブラックボックスのまま不問に付された錦の御旗化してしまう。