架空の杜

The journey is the reward.

共同体主義 communitarianism

A・マッキンタイア(Alasdair MacIntyre)、C・テイラー(Charles Taylor)、 M・サンデル(Michael Sandel)らによる、 自由主義批判を指す。彼らは総じて、自由主義が想定する人間観と、その人間観に基づいた政府の役割を批判し、共同体の価値を強調するため、この名前で呼ばれるようだ。

自由主義が想定する人間観とは、共同体主義者によれば、特定の共同体の伝統や慣習から切り離された、いわば「原子」のような個人である(`atomism'と批判される)。この個人は社会契約によって自由に社会から出たり入ったりでき、社会の価値観とはまったく無関係に「善き生」の構想を作ることができるとされる。そればかりでなく、個人の性別、人種、家族、等々の属性は「偶然的」で「切り離すことが可能」なものと考えられ、個人はこうした属性なしに人格あるいはアイデンティティを形成することができると考えられる(「負荷なき自我」`unencumbered self'と批判される)。要するに、自由主義者は個人を共同体からあまりに切り離して考えすぎだ、ということである。これは、普遍性を志向する自由主義が持つ没歴史的(ahistorical)なアプローチに対する批判とも言える。